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介護職の上手なコミュニケーションのとり方
2019/04/03
この記事では、介護職の上手なコミュニケーションの取り方について記述したいと思います。介護職のコミュニケーションの取り方について、個人的に重要だと感じるのは3つのポイントがあります。
- 認知症の方に対するコミュニケーションの取り方
- TPOをわきまえたコミュニケーションの取り方
- コミュニケーションスキルを使用する
上記の3つのポイントを押さえることが出来れば、介護職として上手なコミュニケーションを取れているといえるでしょう。
認知症の方に対するコミュニケーションの取り方
代表的な認知症の種類は下記の4種類があります。
①アルツハイマー型認知症
認知症の中で最も代表的なのがアルツハイマー型認知症です。物忘れからはじまり、記憶障害が起き、季節や時間、場所などがわからなくなり、簡単な計算も出来なくなったり、考えや判断能力も低下していきます。進行すると、徘徊、興奮、妄想などの周辺症状が出現することがあります。
②レビー小体型認知症
うつ症状や幻覚にパーキンソン症状を伴うのが特徴です。ぼーっとしたり、急に誰かが家に入ってきたなどの幻覚症状が起こります。体のこわばり、歩行困難、動作が緩慢になるなどのパーキンソン症状が見られます。自律神経が阻害されることにより、立ちくらみによって、転倒の危険性も高まります。
③脳血管性認知症
脳出血や脳梗塞などの脳卒中が原因となることが多いです。脳のどの部分が損傷を受けたかによって、症状の出現の仕方は変わってきます。記憶力は低下しているが、判断力は保たれているなど、機能低下にばらつきが見られるのが特徴で、「まだら認知症」とも言われています。
④ピック病
急に自尊心がなくなって、乱暴になったり、反社会的行動をとります。人格も変わり、暴飲暴食や盗みをしたり、性的にもふしだらになります。反対に、無表情で何もせず、じっとしていることもあります。ほかの認知症に見られる、時間や場所、人の認識が欠如することはありません。
上記の4種類が認知症の主な種類となります。認知症の症状に合わせた、介護職として上手なコミュニケーションを取っていく必要があるのですが、共通して言えるのは、認知症の方が起こす問題行動などを無理に「抑制」をしないことです。認知症の方は「抑制」をされればされるほどに、ストレスを溜めることになり、問題行動が悪化したり、さらには新たな周辺症状を引き起こすことになります。
グループホームなどの施設では、問題行動が悪化した利用者がいれば、他の認知症患者にも悪い影響を与えてしまいます。無理に抑制せずに、幻覚などの症状は、その方にとっては「事実」なのです。その「事実」を「傾聴」し情報を集めることにより、利用者が落ち着く対応方法をチームとして話し合っていくことが大切になってきます。
コミュニケーションは話すだけではありません。高齢者の思いをじっくり「傾聴」することも立派なコミュニケーションの一つなのです。
TPOをわきまえたコミュニケーションの取り方
介護職と言うのはとても特殊な仕事でもあります。人を扱う仕事であり、物を扱う仕事とはわけが違います。とても尊い仕事であり、責任感の重い仕事でもあります。
TPOとは「時間と場所、場合に合わせる」という意味をもっています。社会人であればTPOは誰でも知っているはずなのですが、時間に追われ、忙しい日々の中、介護職と言う特殊な仕事柄も関係しているのか、不適切な発言をしてしまっている介護職員が目立ちます。
高齢者の方は難聴の方や、加齢とともに聴力の低下が顕著な高齢者が多く見受けられます。そのことから、介護職は基本的に高齢者の方に大きな声を出す癖がついてしまっているのも事実です。
ただ、しっかりと耳が聞こえる高齢者の方もおられるので、高齢者の聴力に合わせたボリュームの調整を行っていくことが必要になってきます。
また、施設などでは高齢者の方にとって恥ずかしいと思うようなことを平気で大声で話してしまっている職員も見受けられます。
例えば、排泄介助時に、「○○さん、たくさんウンチ出たね~!!」と他の利用者にも聞こえるような大きな声を出してしまっている介護職員は施設の中でよく見受けられます。
介助されている側の利用者は認知症で、自分の思いを介護職に伝えることができない方もおられます。そういった方たちの思いを汲み取り、周りに聞こえないように、「お通じがやっと出て、すっきりできて良かったですね」などと、TPOに応じたコミュニケーションの取り方が大切です。
コミュニケーションスキルを使用する
相手の特性に合わせて、TPOをわきまえたコミュニケーションを取ることが出来れば、次はコミュニケーションスキルを実践することも大切になってきます。
コミュニケーションスキルを身に着けて、自在に操ることが出来れば、相手との信頼関係を築くことができます。
ミラーリング
ミラーリングは話をしている相手とボディランゲージを合わせること。例えば、相手が腕組みをすれば、自分も同じように腕組みをする。鏡に映っているかのように姿勢や動作、身振りや表情などを相手のまねをすることで無意識レベルでの親和関係が築きやすくなります。
ただ、あまりにやりすぎてしまうと相手に気づかれて逆効果になるため、さりげなく行うことが大切です。
ペーシング
ペーシングとは、話しをするスピードや声の調子、動作などを相手のペースに合わせることです。人間は、初対面の人や自分とは違うと感じるものに対して警戒心を抱きます。自分とは違うものに不安を感じるからです。一人一人持っているペースは人によって違いがあり、相手との違いを感じる不安要素になってしまいます。人とペースを合わせることで、私達は無意識レベルでの親和関係を築くことができているのです。
高齢者の方は理解力や判断力が低下している方も多いです。早口や、高齢者が理解できない専門用語で話してしまったり、ゆっくりと喋る高齢者の話を遮ってしまったりしているようでは、中々、信頼関係を築くことは出来ません。高齢者の方のそれぞれのペースに合わせてコミュニケーションを取ることが大切です。
バックトラッキング
相手の言ったことを、そっくりそのまま反復して言い返したり、要約して言うことで、相手は自分の話を聴いてくれている。理解してくれているという印象を持ちます。オウム返しとも言われています。
バックトラッキングするものには下記の3種類があります。
- ①相手が話した事実をそのままの言葉で返す
- ②相手の感情を受け取り、言葉で表現して返す
- ③相手が話した内容を要約して返す
①は使い過ぎると相手も不自然に感じるので、要所で使うことが大切です。
②は下記の例として、相手の感情に共感することが大切です。
高齢者:「私の大好きな氷川きよしがTVで歌ってる!」(嬉しそうに)
介護者:「○○さん氷川きよしの大ファンですもんね!良かったですね!」(嬉しそうに)
③は理解した内容を相手にフィードバックすることで、この人は私の話をしっかりと聞いてくれていると感じ、相手から安心感を得ることが出来ます。
バックトラッキングを実践することで相手は、「私のことを理解してくれている」「大切にされている」と感じ、信頼も得られやすくなるのです。
まとめ
- 認知症の方に対するコミュニケーションの取り方
- TPOをわきまえたコミュニケーションの取り方
- コミュニケーションスキルを使用する
上記の3つを実践することで、信頼関係を築きやすくなりますが、これらはまだまだほんの一部です。介護職で大切なことは相手と信頼関係を築くことです。コミュ二ケーションの取り方を間違えば信頼関係を築くことが出来ません。信頼関係を築けなければ、そもそも介助もさせてもらえないことも十分にあります。また、上記の3つのことを実践してもマニュアル通りにいかないことは多々あると思います。それでもあきらめずに、専門職として高齢者の病気の種類や特性に合わせたコミュニケーションの取り方、コミュニケーションスキルを使い分け、日頃から信頼関係を築いていくことが大切なのです。